雨が降っていたけれど
とても良い一日だった
ボクが初めてお地蔵様を掘り始めた頃
ここによく来ては
お地蔵様を眺めにきた
本来は水子供養なのだけれども
ボクはその悲しみの中に
描かれている
無情の美と優しさを感じ
たくさんのお地蔵様のスケッチをして
自分の作品のプロトタイプを作った
いまも10体のお地蔵様が
完成を待っていてくれる



そして
35年以上も昔の
疾風怒濤の青春を共に駆け抜けてきたから
素敵な友の職場を初めて訪ねた
社長でありながら
玄関前に植え込んだ花をいじっていたから
気がつかなかった
大病を患い
死線をさまよいながらも
生還してきてくれた
大好きな映画を語り
大好きな芝居を語り
大好きな酒や女を語り
大好きな書や芸術を語り
大好きな異国の旅を語り
大嫌いな人たちのことも語ってきた
主体的に関わる社会や政治を語ってきた
博学な彼から
真面目に
時には茶化しながら学ぶことは
これからも多そうなんだよ
帰路につきながら
軍歌を聴いた
「同期の桜」
