2011年9月3日土曜日

My Dear Friend -184/友の旅立ち

大型の台風12号が近づいてきてた夜

雨風の中 友人夫妻が訪ねてきてくれて
タイカレーでおもてなし
タイの話から本の話 そして近い将来の話
彼らのエネルギッシュな話には
目から鱗のことばかり
楽しい話題で盛り上がり

夜も更けて
楽しい宴は終わり
夫妻を見送ったとき

一本のメールが入ってきた
突然の電話だと怖いからメールに
して欲しいと伝えてあった

毎日のように友の容態は悪化していた
そして昨日は
昏睡状態に入ったとメールが入っていた

友人が帰られてからで良かった
泣き顔を見られなくて良かった

若い頃一緒の職場で
一緒にデザイン作業をやったり
打合せで各地を旅したり
仲間たちとの旅行も楽しんだ

一度なんか
名古屋駅から今池まで
何軒もハシゴをしながら
ひたすら飲み歩いた

よく殴り合いの喧嘩もした
多い年は彼のメガネを3回も
弁償したこともあった

ボクが古いブリキの玩具など
ジャンクなものを扱う雑貨屋を
始めたときには
良く通ってくれた

独立して何年か経ったときに
彼もタイとの貿易交流があると知った

少し経って
ボクのタイと
彼のタイとでは
雲泥の開きがあることが分かり

ボクはフェアトレードを薦めたが
聞き入れてもらえなかった

そして5年が経っていき
ボクがタイの旅から帰った今年の8月
彼の癌を知らされた

すぐにお地蔵様を彫り始めたんだ
気持ちは乱れまくり
思うように彫りが進まない
友の薦めや気遣いもあり
未完のママ
彼の枕元に持って行った

意識は無かったので
ボクのことも
お地蔵様のことも
分からないみたいだった

そして深夜
台風12号と一緒に
この世を駆け抜けていってしまった